いつかは読んでみたい古典的名著というものが自分にはあります。
何冊か有るのですが、そのうちの一冊がマキャベリの『君主論』です。
大学生になってから『君主論』という本を知り、手に取ってみたのですが、読むことは出来ても理解することは出来ないのではないかと思いました。
そういうときに役立つのが「○○でもわかる△△」や「図解~」といった、原本をわかりやすく解説してくれる本です。君主論についてもそういった本をあてにしようかと思ったのですが、ほかに興味深い本を見つけたためそちらから手をつけることにしました。
それが今回紹介する『使えるマキャベリ』という新書本です。
書籍紹介
こんな人におすすめ
ビジネスで生き抜く力をつけたい人
ビジネス心理学を学んでみたい人
君主論や政略論などの概略・実践法を知りたい人
マキャベリの思想についておおまかに触れてみたい人
私がこの本を読んだきっかけ
図書館をふらふらと歩いてたことがあり、そのとき偶然マキャベリの『君主論』を目にしました。岩波文庫から出されているもので、そのシンプルなタイトルに惹かれて手にしました。
ところが、いざ読もうと本を開いて読み進めてみると、まったく頭に入ってこない。
使われている単語・用語がそもそもわからず、その数が多くて読むどころではなかったり、かたい文体で読むのが疲れたりという有様でした。
一度『君主論』の解説書なんかを読んでみようと考えを改めて古本屋へ行ったときに見つけたのが『使えるマキャベリ』です。
解説だけでなく実践方法も書かれていたため、応用につなげやすいのではないかと思い購入し、読みました。
この本の概要
- 本名 使えるマキャベリ
- 著者 内藤誼人(ないとうよしひと)
- 刊行日 2011/03/07
- ISBN 9784480065988
- 体裁 新書判 208頁
マキャベリの思想は、自力で生き抜く技術である。これは現代の厳しい環境で働く私たちにも重要なスキルだ。仕事人として結果を出し、評価されるための実践講座。
引用:筑摩書房公式HP
目次
第1章 負けないための発想―マキャベリ思想の基礎;
第2章 仲間づくりのリアリズム―マキャベリの人間関係術;
第3章 巻き込み、協力させる―マキャベリの組織術;
第4章 思いどおり動かす―マキャベリの部下掌握術;
第5章 勝ち抜く人間の行動―マキャベリの自己強化術;
第6章 とにかく結果を出す―マキャベリの成功術
読んでみた感想
リズムが良く、読みやすい
この本は
- マキャベリの著作から一説を紹介
- 解説
- 実践例・方法、著者の体験など
という調子で書かれています。
そのため自分の気になる箇所や、取り入れたい部分などだけをかいつまんで読むことが出来ますし、マキャベリの言わんとすることをザックリと知るということもできます。

おおまかに、流れをつかむということは大事です
心理学の知識や研究も交えた解説
この本のとても良いなと思った部分です。
少なくとも私が手に取ってきたビジネス書や自己啓発書の多くは、その本の著者の経験や考えをもとに「こうしなさい」「こうするべきだ」という主張をくだしているものがほとんどでした。
私としてはそういった内容を目にすると「偶然じゃないか?」なんて感想を持ってしまいます。それが必ずしもより広く通用するのか怪しく思います。
しかしこの本はマキャベリの一説を解説したのち、関連した心理学の研究などを引き合いに出しつつ実践方法などを書いてくれています。
もちろん学問というのは日々結果が塗り替えられたりしているため、学説が変わったりすることはありますが、科学的根拠があるだけでも十分信頼することが出来ますし、説得力もあります。
巻末には参考文献が6ページにわたって載せられています。

いくつか根性論のような主張も見受けられますが、それを裏付けるような研究を紹介しているため受け入れることが出来ました。
生き抜くための3本の柱
この本で紹介されているマキャベリのフレーズは全体のわずかではありますが、自分なりにこの競争社会を生き抜くための3つの原則をまとめてみました。
もちろんこれが一般的に大事がというわけではありませんが、これまでの自分を振り返ってみて、反省点などをふまえての柱です。
- 自分の力を持ち、自分の力で生き抜く
- 威厳を持つ
- ただのいい人にならない

ナヨナヨとしている自分には刺さる言葉が多かったです
自分の力を持ち、自分の力で生き抜く
そもそもマキャベリの基本思想というのが「自分の力で生き抜いていけること」というもので、マキャベリの著書『君主論』や『フィレンツェ史』などにはそれを匂わせるような記述が見られます。
そしてこの『使えるマキャベリ』でも多く取り上げられています。
自分の力を身につけることだけでなく、他人を当てにしないこと、信じられるのは自分自身であることなども書かれています。
自分の力で生きていくということは、単に自分自身のスキルを身につけたり上達させるだけではなく、他人に依存しないということも意味しています。

オンリーワンとなるような、他人から必要とされるような力を身につけたいですね
威厳を持つ
これは君主論の中でも比較的有名な内容に、「恐れられろ」という文句があります。
もちろんそれだけを真に受けて「恐れられるようになろう」と意気込むのは早とちりというものです。この本を一通り読んだだけでも「上に立つ者」の心構えについて多く学ぶことができ、恐れられることだけを念頭に置いていては痛い目を見ることがよくわかります。
「恐れられる」というよりも「威厳を持つ」とひっくるめたような表現が適当かなと思いましたので、この表現は私の勝手な解釈によってなされた結果として出たものです。
馴れ合ってはいけない、できるように振る舞うなどネットの記事なんかでよく目にすることについて、もっと深掘りされたような内容がマキャベリと関連付けられつつ、心理学的な根拠を提示して書かれています。
偉人のエピソードも交えられていて教養として頭に入れておくだけでも面白いです。

足下は見られたくないですよね。
ただのいい人にならない
極めつけは『ただのいい人にならない』ということ。
これも私が勝手にまとめて一言で表しただけで、本文にズバリと書かれているわけではありません。
例えば他人との馴れ合い、大盤振る舞いなんかはつい気に入ってもらおうという下心炉の元でやってしまいがちです(私個人の話です)が、そのようではいずれ利用されるだけの、都合の良い人間だと思われてしまいます。
利用するつもりで近づいたのに利用されるようになっていた、ではしゃれになりませんからね。周囲の人間への振る舞い方というのはとても気をつける必要があるのだなと思いました。

恋愛に於いても「ただのいい人」になるのは良くないですね
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