『すべての人の天文学』
天文学の本にはどんな内容が書かれているのか
天文学の本とはいったいどのようなことが書かれているのでしょうか。
多くの場合、全体的な流れとしては、距離の測り方や明るさの表現、恒星や惑星の性質、そして宇宙全体の話などに話が及んでいきます。
この本も同じような流れですので、天文学入門書を併読したい方におすすめです。
この本をおすすめする理由
2022年に出た新しい本
この本は2022年に出版された大変新しい本です。
天文学はもっとも古い学問の一つでありながら、現在でも日々研究が進んでいる学問です。そのため知識のアップデートが激しくもあります。
最近のところで言うと、とうとうブラックホール(シャドウ)が撮影されましたね。
既存の天文学の本にはブラックホールの画像はすべてイメージやCGだったわけですが、今回の成果によりついに画像が載ることになります。
ほかにも古い本だと『重力波なるものが存在するかも』という内容が書かれていたりしますが、現在の本では重力波の存在が明記されています。
このように新しい本を買うことで新しい知識を吸収することが出来ます。
広くも浅すぎないちょうどいい範囲
一般向けの教養書だとどうしても「広すぎず浅い」知識となってしまうのですが、『すべての人の天文学』は幅広い知識をおさえつつ、浅くなりすぎないちょうどいい掘り下げ方をしています。
天文学だけになりすぎず、物理学的な背景が抑えられているのも好印象でした。
難しい内容や、進んだ内容などは巻末の捕捉に回すといった工夫もまたいいですね。
トピックや発展の欄が設けられている
学校の授業で教科書よりも資料集や便覧を読んでいた方、コラムは欠かさず目を通していた方、そんなみなさんに朗報なのがトピック欄や発展があるということです。
この欄では本筋とはややそれるものの、関連のある話や、一歩進んだ話が盛り込まれています。
本文はもちろん面白いのですが、このトピックも十分面白いので、初読についてはこのトピックだけ拾い読みするのもいいかもしれません。
こういう脇道があるとテンポよく読み進められますよね
章末問題でアウトプットもできる
一般の方向けの入門書はどうしてもインプット重視になってしまいがちですが、この本は章末に問題が設けられています。
問題の難易度は、小学生でも解ける問題から中学校数学ができれば解ける問題など様々です。どうしてこうなるのか、というのを考えたり、実際に自分で計算してみたりと出題内容も幅広いです。
もちろん巻末に回答も載ってます
専門書だとまれに回答が載っていないものがありますよね……
教育者用に設けられた第2部
この本の注目したいポイントは、宇宙を知りたい人に向けられただけではなく、宇宙を教えたい人に向けられた内容も組み込まれているところです。
たとえば宇宙を教えるにあたっての題材を提示してくれたり、現代における天文学の立ち位置を考えさせるような内容が盛り込まれています。
天文学を学びたい人のみならず、天文学を教えたい人をもカバーした、まさに『すべての人の』天文学本ですね。
拾い読み・流し読みの注意点
基本的に数学、物理学、天文学というのは積み上げの知識です。
つまり前のほうで出てきた単語や知識を使って、後々の問題を考えたり、新しい知識を導入したりします。
そのため単に拾い読みや、流し読みをするとわからない単語に直面することがしばしばあると思います。
そうなったときはいったん前のほうに戻るか、天文学辞典(オンラインでまさかの無料)を使って調べるといいでしょう。ちなみに書籍版天文学辞典の代表編者は、『すべての人の天文学』の著者、岡村定矩先生です。
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