理由は何であれ大学生になると、自力で専門書や学術書を読み込まないといけない場面に出くわすことが少なからずあるでしょう。
しかし専門書というのは一筋縄ではいかないものです。
そこで今回は物理・天文を中心とした分野を専攻とする学生さんに向けて、専門書の読み方を紹介しようと思います。もちろんこれは一個人の主張だと思って参考にしてください。
この記事を読むに当たっての注意点
執筆者は物理学専攻の大学院生です
この記事を書いているのは物理学専攻の大学院生ですので、主に読んでいる本は物理学や天文学の本です。また、勉強も物理学や天文学の勉強を中心としていますので、他の分野の方とは少々勝手が違うと思います。
その点はあらかじめご理解ください。
想定している本は大学生向けのテキストやさらに進んだ専門書や学術書です
本記事では大学生向けのテキストや、さらに進んだ専門書や学術書といった本を想定しています。
小説や実用書・ビジネス書の読み方とはまた勝手が違いますので、その点もあらかじめご理解ください。
結論:専門書・学術書を読むこつ
大前提:読む理由を明確にしておく
- 複数の本に手を出す
- 入門書を据え置いておく
- 前書き・目次に目を通しておく
- メモをとりながら読む
- とりあえず通読する
(おまけ)演習問題にも取り組んでみる
大前提:読む理由を明らかにしておく
- 卒業研究の参考にしたい
- 他科目の基礎として使うため勉強したい
- 単位を取るため(←これも立派な理由だと思っています)
まず「大前提」として書かせていただきましたが、その本を明らかにしておきましょう。
読む理由がわからないのに難解な専門書を読み進めるのは難しいことです。
読む理由を明らかにすることで、得たい知識や考え方もはっきりしてきますし、行き詰まったときも読む理由がモチベーションとなって支えてくれます。
個人的に「テストで点を取るため」や、「単位を取るため」というのも立派な理由だと思っています。その理由に向けた読み方をすれば良いのです。
1.複数の本に手を出す
大学での勉強・本の読み方で中学高校と大きく異なるのは、複数の本に手を出すべしということがあげられます。
中学高校では1冊の参考書を読み込むという風に言われてきましたが、大学になるとそうはいかなくなります。
中学高校は学習内容が決められているため、結局はどの教科書も参考書も書いている内容は一緒なのです。だからこれと決めた1冊を読み込むことが大事なんですね。
しかし大学になるとまず大学によって講義内容が違いますし、さらに担当教員によって講義内容が変わってきます。さらにさらにテキストや専門書も著者によって書かれている内容も変わります。
だからこそ専門書を読むときは複数冊読むのが吉なんですね。
2.入門書を据え置いておく
入門書は
・文庫本
・新書
・入門○○
という本でも全然OKだと思います
先ほどの1では複数の本を読みましょうという旨を書きましたが、2ではそれに関連した内容です。
その複数冊の本の中には必ず入門書を選ぶようにするのです。
入門書なんて……と侮ってはいけません。なんやかんやわかりやすいし、なんやかんや役に立ってくれるのが平易な本、すなわち入門書なのです。
こと専門書というのは内容が抽象的になりがちだったり、結局何をしたかったのかがわからなくなりがちです。そこで入門書の出番。厳密性や網羅性にはかけるかもしれませんが、全体として何をしているのかというのは大変わかりやすくまとめられています。
専門書を読む前に入門書、専門書を読んでいて迷子になったら入門書、という使い方をするのが個人的におすすめです。
3.前書き・目次に目を通しておく
- 前書き・序文→読者のレベルや読み進め方が書かれている
- 目次→自分が必要とする内容がどの辺にあるのか知ることが出来る
これ意外と忘れられがちなのですが、前書きと目次は非常に重要です。
具体的な理由は上のボックス内に書いたとおりです。
例えば同じ「電磁気学」というタイトルの本でも、初学者に向けて書かれている本もあれば、相対論への結びつきを意識している難しい本もあります。
前書きや序文には想定する読者のレベルが書かれていたり、こんな人は何章から読んでね、などのほんの読み進め方を説明してくれていることが多いので是非目を通しておきましょう。
同様な理由で目次も見ておくとスムーズに読み進められます。目次を活用すると、大前提である「本を読む理由」にあてはめて読み進められるため、挫折しにくくなります。
4.とりあえず(読みたい範囲を)通読する
最初から完璧を目指さないのもコツです。
取りあえず読みたい範囲を通読して、目次だけでは読み取れない、どんな内容が書かれているのかを把握しましょう。大学の内容は抽象的になりがちなので、「どんな内容」を「どんな流れ」で書かれているのか意識すると良いでしょう。
何も意識しないで文字ばっかり追っていると「この章は何をしたかったんだろう」という感想を持ちがちです。多くの教科書はちゃんとつながりや脈絡がありますので、それを最初の通読で読み取れると後々楽になります。
5.メモをとりながら読む
- この章では何を説明したいのか
- 出発点と着地点
- 式変形
- ほかの本との比較や追加コメント
一通り読んだらいよいよ深掘りしながら読み進めることになります。
このときメモをとりながら読むことをすすめます。メモの取り方はそれぞれですが、上記のような内容を私はよく書き込んでいます。
式変形はもちろんですが、その章・節では何を説明するのか、その説明では何を出発点にして何を導いたのかということを意識しています。
またほかの本で言及されていたものの、一方ではされていなかった説明や解釈があればそれも書き込んだりします。
(おまけ)演習問題にも取り組んでみる
これはおまけなのですが、演習問題に取り組むのも良いでしょう。
演習問題に取り組むというのは特に試験対策に有効です。
本を読むという行為自体はインプットで、問題を解くというのはアウトプットに当たります。インプットよりもアウトプットの割合を増やすと理解度や記憶の定着が良いとかどうとかという研究結果もあるようです。
もちろんそういう目的もありますが、実際に問題を解いてみることでこれまでインプットしてきた内容が具体的にどんな風に使うことが出来るのかというのを実感することが出来ます。
この経験をすることで自分なりに応用の仕方を考えることも出来ますので、個人的におすすめです。
まとめ
- 大前提:読む理由を明確にしておく
- 複数の本に手を出す
- 入門書を据え置いておく
- 前書き・目次に目を通しておく
- メモをとりながら読む
- とりあえず通読する
(おまけ)演習問題にも取り組んでみる
専門書を読んで勉強するというのは大きな壁だと思います。1,2年生のときはそんな機会に恵まれなかったとしても、研究やゼミのためにほかのテキストを自分で1から読み進めることもあるでしょう。
そんなときのためにこの記事が役に立っていただけると嬉しいです。
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